周はホストなので夜から仕事が始まる。
 そして、吹雪は図書館の司書だった。そのため、会える時間は合わない事がわかった。
 お互いに休みの日を使って会うことになったのだった。


 「本当に不思議というか、謎な人だったな………」


 きっと彼だから、あの提案に乗ってしまったのだろう。吹雪はそう思った。
 あまりにも怪しい話だ。普段なら声を掛けられただけでも、その場から言い訳をして立ち去ってしまっただろう。
 確かに、その直前に傷つく出来事があったのは大きいかもしれない。誰かにすがりたくなってしまっていたのも自分でわかっていた。
 けれど、それだけでは彼の誘いに乗って、ついていったりしなかったはずだ。


 「………私って意外と面食いなのかな…………」


 そう呟きながらも、彼とのメッセージ画面を見つめた。
 これからどうなるかわからない。
 不安とちょっとした怖さもある。けれど、それと同じぐらい刺激を求める気持ちとワクワクする感情があるのに、吹雪は気づいていた。