周はそう言うと、部屋に入ってリビングに向かった。吹雪の部屋に来るのも随分慣れてくれているようで、緊張した様子は見られない。吹雪と言えば、まだ自分の部屋に彼が居る事が不思議な気持ちに思えていた。


 「吹雪さん、お腹空いてる?」
 「え?………別に何か食べたいわけではいけど……どうしたの?」
 「あのさ……今日はどうしても吹雪さんのおうちでご飯食べたかったんだよね」
 「ご飯?」


 彼が言う事の意味が理解出来ず、吹雪は首をかしげて彼の方を見る。すると、周はニコニコしながら持っていた紙袋を吹雪に手渡した。


 「これ、吹雪さんにプレゼント。まぁ、俺も使うものだけど」
 「え……ありがとう。何だろう………」


 突然のプレゼントに驚きながら、吹雪は紙袋を受け取り、中身を取り出す。厚紙で出来た箱が入っており、吹雪はそれを丁寧に開封した。


 「わぁ………これ、周くんが作ったお茶碗?」


 そこには、彼がよく作っている青い陶器のお茶碗が入っていた。手に取ると、とても持ちやすく手に馴染むのがわかった。そして、鮮やかな蒼が吹雪を魅了した。