27話「同じ気持ち」





 降り続いて雨は、周と吹雪がギャラリーを出るときには止んでいた。
 周が借りたギャラリーは、本来はこの日のみの予定だったが、カフェの店長兼ギャラリーの店長が、周の作品を気に入り「この後の予定はしばらくないから、置いておいていいよ」とご厚意でそう言って貰えたのだ。そのため、この日の片付けはなく、吹雪と共に帰る事が出来た。
 2人は傘を持ち、反対の手を繋いで歩いた。


 「そう言えば、どうして俺が学生だってわかったの?」
 「周くんが酔っぱらって家に来た事があったでしょ?その時に周くんのバックから財布の中身が飛び出てて。学生証が見えたんだよ」
 「あ………あの日か……あの日は本当にカッコ悪かった」
 「そんな事ないけど?何か、素の周くん見れてよかったよ。それに寝顔も可愛かったし」
 「可愛い寝顔なのは吹雪さんでしょ?」
 「………ぇ………」


 面と向かって可愛いと言われてしまった吹雪はすぐに顔を赤くさせてしまった。すると、周はニコニコと笑いながら顔を覗き込んできた。


 「初めて吹雪さんの家に泊まった時に夜中に起きて見ちゃったんだー。すっごい可愛かった」
 「泣きはらして顔が変だったからおかしかったんでしょ?」


 照れまぎれにそう返事をすると、周は首を横に振った。そして、「そんな事ないよ」と言った。そして、何故か彼も頬を赤くしてまた口を開いた。