背から聞きたかった声が聞こえ、吹雪はすぐに振り替える。すると、そこにはいつものふんわりとした笑みの周が立っていた。
 彼を見ると、瞳の奥が熱くなる。目が合っただけで気持ちが溢れ出てしまいそうになり、吹雪は必死にそれを堪えた。


 「………吹雪さんの部屋にお邪魔した時に、俺の食器がまだ置いてあって嬉しかったよ。…………来てくれてありがとう、吹雪さん」
 「このギャラリーは、周くんの……?」
 「そう。俺は大学院生で、今は陶器の先生について技術を磨いてるんだ。青い食器が好きで………こうやってギャラリーを開くのが夢だったんだよ」
 「………そうだったんだ……」


 吹雪はその言葉を耳にして、彼から目をそらしたくなった。ギャラリーを開きたいから柴田の所に自分を連れていった。そんな自分の勝手な憶測が頭をよぎったからだ。
 けれど、吹雪はそんなマイナスな考えを自ら払いのけた。今日ここに来たのは、悲しむためじゃない。
 自分の気持ちを伝え、彼の本心を聞くためなのだから。