アリスはやがて近くの農村の学校に入った。

その頃からアリスは周りの異変を感じるようになった。

最初は仲良くしていた友達が、徐々にアリスを避ける様になっていったのだ。

なぜかアリスが失くし物を次々と見つけてあげたり、牛の暴走や川の氾濫を予知してあげたりしただけで。

彼女の予知が的中する度に最初は感謝していた人々も、いつしかアリスを恐れ『悪魔の子』と呼ぶようになった。

……どうして? 私は何も悪いことはしていないのに。ただみんなを助けたいだけなのに。

それを母親に話すと、彼女はアリスを抱きしめながら微笑んだ。

「アリスが悪魔なわけがないでしょう。だって、ミシェーレはフランスでは『天使』って意味なのよ。だから悪魔だなんてあり得ないわ」

「じゃあ、お母さんもミシェーレだから天使なの?」



アリスが尋ねると、母親は一瞬の沈黙の後ゆっくりと頷いた。

「そうよ。だから私はアリスを守り続ける。それが母親として、そして天使としての務めだから」



それを聞いて、アリスは純白の笑みを浮かべた。



「ありがとう! じゃあ私もいつか立派な大天使様になって、お母さんを守るね!」