「一人に、しないで……！」

最近、彼氏の声を聞いたのはいつだっけ？抱きしめあったのは？キスをしたのは？その先のことなんてもう何ヶ月もしていない。それほど彼氏の生活は忙しくなっている。

泣き疲れたのか、私の意識はフッとなくなった。



ぼんやりと目を開けると、三時間も寝てしまっていた。でも、彼はまだ帰ってきてないだろうしもう少し横になっていよう。

そう思い、ゴロンと寝返りを打つと体に柔らかいブランケットがかけられていることに気付いた。私は何もしないまま寝たはず。じゃあ、もしかして……。

「あ、起きた？」

コーヒーを用意しながら、彼がニコリと微笑んだ。こんな風に話すなんて久しぶりで、私は戸惑う。

「な、何で？今日はレコーディングで遅くなるんじゃ……」

「たまたま早く終わったんだよ」

そう言いながら、彼はコーヒーをマグカップに入れてテーブルの上に置く。二つ。このマグカップは私が一昨年のクリスマスにプレゼントしたものだ。お揃いのもの。