いいな……。ぼんやりと窓の外を私は眺める。私は海外旅行になんて行ったことがない。行くのはきっと新婚旅行だと思ってたのに。まだまだ先の話なのかな……。

セキュリティのしっかりした二十階建てのマンションに着く。ここが彼氏と同棲しているマンション。たぶん今は彼氏はいないだろう。

部屋に入れば予感は的中。広々としたリビングの電気は消えている。彼氏は今日は朝からレコーディングすると言っていて、仕事が終わったら仲間と飲みにでも行くんだろう。最近、こんなことが多い。二人の生活が、どんどんすれ違ってる。

「……別れちゃうのかな……」

ポツリと呟いた言葉に、ジワリと悲しみから涙が押し寄せる。ヤダ。別れたくない。まだ私は彼氏のことが大好きなのに。

「うっ……ううっ……」

私はソファに寝転び、泣き続ける。広いリビングに私の泣き声が響いた。

胸に揺れているのは、彼氏からもらったネックレス。お気に入りで、ずっと大切にしている。指輪も、ブレスレットも、私の持ち物の多くは彼氏がプレゼントとしてくれたものだ。