終わったはずの恋だった。


***

満生の密かな恋は、想いを伝えることすら出来なかった。

胸に燻り続ける想いは後悔となって満生の心を容赦なく傷つける。

期末テストなんて待たずに、どうしてすぐに夜景を見に行かなかったんだろう。どうしてフラれることに怯えて、これまで告白しなかったんだろう。

フラれる方がまだ良かった。
恋に破れたならば、泣いて、泣きじゃくって、また立ち上がればいいのだから。

一年以上も片想いを続けた満生の恋はこの想いに『完』の文字すらを飾れずに幕を閉じたのだ。

無事に佐倉の研究室に配属された満生は成績上位10位以内の学生にある特権、院への推薦入学を打診された。

結論を出すまで一週間しか猶予はなかった。すでに企業から内定も出ていた満生。でも院への進学には強く惹かれるものを感じた。

秋に相談したい気持ちを満生は必死に飲み込む。
満生は恋を失うと同時に、何でも相談できた友さえも失ってしまった。