恋人は社長令嬢

社長には言ってないのに、どうしてそれを?

亮介は、那々香を見た。

那々香は、私じゃないと首を振る。

「社員の事で、知らないことなど、私にはないのだよ。」

春樹の眼鏡が、異様に光って見えるのは、気のせいだろうか。

「どちらでも構わんよ。俺の後を、任せられるようなヤツならな。」

そこで、外からコンコンと音がした。

「社長、赤間です。」

「瞬……」

梨々香が立ちあがる。

「入りたまえ。」

「はい。」

瞬は、社長室のドアを開けた。

「どうした?」

「はい。社長に、お話があります。」

「分かった。聞こうじゃないか。」

瞬は、背中をピンと伸ばした。

「社長。僕は……梨々香さんと、別れる気持ちはありません。」

瞬を見る春樹の視線が、鋭くなる。