恋人は社長令嬢

「松森社長の娘で…」

「ああ…」

至はふと、考えた。


社長はおそらく、瞬と梨々香の関係を知っていた。

知ってて、黙っていた。

自分の会社の社員とは、はなから結婚させる気なんてなかったからか?

それとも、何か思惑があって、泳がせたのか?


「ただ……それだけだ。瞬。」

瞬は、ゆっくりと顔を上げた。

「そして彼女の父親に、結婚を反対されただけ。」

「至……」

「当たり前だろ?彼女はまだ、高校生なんだから。」

瞬は、指輪の箱を見つめた。

「それとも、もう彼女と結婚する気も失せたか?だったらその指輪、返しに行くのに付き合うぞ。」

「…いや。ありがとう、至。おまえのおかげで、大事な物を見失わずに済んだ。」

「それじゃあ?」

「ああ。たかが社長令嬢ってだけで、梨々香を諦めてたまるか!」

「そうこなくっちゃ!」

瞬と至は、お互いの手を合わせた。