恋人は社長令嬢

至はドキッとした。

「あなたは、こう言ったわ。『那々香が好き、こんな気持ちは、生まれて初めてだ』って!」

至は言葉を失った。

「あれは、埜々香ちゃんだったのか?」


言った途端に、ブツッと電話は切れた。

次の日会った時も、那々香は普通だった。

完全に自分の気持ちは、無視されているものだと思っていた。

「そうか……那々香の妹か。」

至は、苦しそうに顔を押さえた。

「至さん?」

もしかしたら自分は、とんでもない事をしてしまったのではないか。


「埜々香ちゃん、さっきの告白の返事、全部忘れて。」

「全部?」

「考え直して、改めて返事をするから。」

埜々香は、一瞬期待にも似た感情を持った。

「那々香の妹に、いい加減な答えは、出せないもんな。」


那々香の妹。

その時点で、答えは分かってるような気がした。