恋人は社長令嬢

今度は亮介の方が、封を切ったように、那々香に迫ってくる。

「結婚しようって言っておきながら、時間をくれだなんて、どうかしてんだよ!」

「りょ、亮介さん?」

「一人になって考えても、思い出すのは君の事ばかりで……」

「少し、落ち着きましょうよ。」

「電話しようにも、怒ってたらどうしようとか思うと、掛けられなくて……」


そ、そんな事で 連絡してくれなかったの!!


「那々香!!」

「キャッ!!」

亮介は、迷子が母親を探し当てたように、那々香に抱きついた。

「俺!もう一度、一からやり直して、自分の力で本社に戻るから!それまで、待っててくれ!」

那々香は自分の頬に、温かいモノが流れているのが分かった。

「うん……」

亮介は、自分の事を忘れていなかった。

それどころか、自分の為に頑張ろうとまでしてくれて。


「梨々香の言う通りにして、よかった。」

心からそう思う、那々香だった。