そんな感じで、特に会話を交わすことなく暇な午前をやり過ごし、昼食に出された病院食を見て、またもげんなり。


一向に進まない箸を握っていると


コンコン


と、またもノックの音。


もういい加減期待なんてしないわ。


どうせ響輔じゃないもの。





響輔じゃ―――





「“コンコン”『はい、どうぞ~』」


と一人ごっこ??しながら入ってきたのは


響輔で……


てか何なのそれ。相変わらず意味不明。てかマイペース。


びっくりしたのと、いつも通りのワケがわからないペースに突っ込みたいのと、でも





嬉しかった。




「鴇田さん……来てたんですね」響輔は鴇田を目に入れると、ちょっと申し訳なさそうに頭を下げ


「いや、ちょうど俺も昼飯の時間だ。少し外す。


ちょうど良かった。イチの傍についててやれるか?」


と鴇田が腰を浮かせ、


「……はい」と響輔は控えめに言って、入れ違いに鴇田が出て行った。


響輔と鴇田は昨日、派手に喧嘩した二人とは思えない程いつも通り。


あたしは―――昨日の今日で妙に気恥ずかしい……


「一結に差し入れ持ってきてん。病院食やとあんた満足でけへんやろ?


ちゃんとドクターに了承得たから大丈夫やで」


と、挨拶もなしにベッドのテーブル……あの食事とか乗せるやつね…に、トンっと何かが入っている紙袋を乗せ、さっき鴇田が座っていたパイプ椅子に腰かける。


紙袋は、百貨店とかでも有名な惣菜ショップのロゴが入っていて、ガサゴソ言わせながら響輔は四角いお弁当の箱を取り出した。