。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。




鴇田の事務所に着いたのは龍崎家から出て30分後のことだった。


「お嬢!オヤジは本日お休みで」


と鴇田の舎弟が慌てて出てきて、


「いや、鴇田に用はねぇ」


てか、あたしがいつアイツ目的で訪ねてきたってんだよ!!


と思ったが「あいつ、何で休みなの?」と聞くと、組員も詳しいことを聞かされていないようで


「何か……身内がごたついてるとか……」と首を捻っている。


身内?


あいつの身内ってことは、キリさんかドクターか?


キリさんには会ってないけど、ドクターは昨日忙しそうでこっちも会ってない。


ま、今は鴇田のことはどーでもいい。


「あたしゃタイガの野郎に用がある。あいつは?」とせっかちに聞くと、組員は事務所の奥まった席を目配せ。


「いつも通りですよ…」と呆れ顔。


「つまりいつも通り意味不明で」と違う組員が説明を添えてくれる。


あいつが意味不明なのは今にはじまったことじゃねぇ。


あたしは組員が目配せした視線の先にあるタイガのデスクに近寄ると、タイガは何やら真剣な顔つきで、やっぱりラーメンをすすりながらマウスを操ってる。


その眼つきがいつになく真剣で…あたしが近づいていったのにも関わらず顔すら上げない。


何見てんだ?


ちょっと気になって、ちらりと画面を覗きこむと


「………」


見なきゃ良かったぜ!!


その画面にはあたしの写真がいっぱいに広がっていて、しかもピンクの背景にリボンやハートなんかのスタンプ付きでコラージュされてるし。


眩暈を覚えて、くらりとしていると


「お嬢!大丈夫ですか!」


「オヤジが居ない今、俺たちがお嬢を守らねば!」


と、鴇田の舎弟はなかなかいい人材が揃ってんなー……その騒ぎ声を聞き


「うさぎちゃん!?」


と、ここに来てはじめてタイガは目を丸めて顔を上げた。