。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。




あたしは、ユズがその元カノと元サヤに戻ってくれることを祈った。


ユズは極道っぽくないが、やっぱヤクザには変わりねぇし。


キョウスケに失恋しちまったから、これで悪の道は絶たれた。


リコにはお天道様に顔向けできるまっとうな道を歩んでほしいぜ。


腕を組んでしみじみしていると


「あ、俺!そろそろ時間なんで出かけてきやす!」とユズが席を立つ。


「おー行ってこい。今日は特別サービスだ、帰ってこなくてもいいぞ?」


と下卑たニヤニヤ笑いを浮かべていると



「いえ、俺の家はここなんで。


“家族”が居るこの家に




帰ってきます―――」



ユズは真剣に言って、軽く手をあげると台所から立ち去った。


あいつ……


ちょっとかっこいいじゃねぇか…と思ったが、すぐに


「おい!片付けぐらいしてけってんだ!!」


あたしは食い終わったカップラーメンの空を手で握りつぶし、掌の中でひしゃげた音がした。


「……まったく、どいつもこいつも…」


昨日はタクがピザの空き箱をそのままにしてったし、今日はユズ。


あいつらすっげぇ仲が悪いくせに、こーゆうところだけ一緒。


「手を焼かせやがって」と悪態を付きながらゴミ箱にその空のカップラーメンを睨むと


「あれ……?」


あたしはカップラーメンのパッケージを眺めた。


「どうしやした?」と壱衣が振り返り


「いや……何でもない」


あたしはそっけなく言うと、今度こそカップラーメンをゴミ箱に放り入れた。


そう言えば、あいつ……




タイガの野郎も同じラーメン食ってた。




しかも、その後、タクが取ったピザと同じピザをあいつのマンションで食った。


偶然……?


にしちゃ出来過ぎてる気がした。