て言うか、この時間にカップラーメン??
「腹減ってたんか?夕飯まで我慢できなかったんかよ」
とちょっと呆れて言うと
「いえ、この後ちょっと出かける予定があるもんで。晩飯外で食うかどうかまだ分かんないし」とユズはラーメンをすすりながら言う。
「そーなの?」
「門限には帰ってきます」とユズは真剣。
「てか、どこに行くんだよ」
普段なら聞かないが、何となく気になった。いつもより洒落こんでるユズを見て目を細めると
「あー……ちょっと…」とユズは言葉を濁す。
「何でぃ。男ならはっきり言いやがれ」
あたしが腕を組んでユズを睨み下ろすと
「いえ…ちょっと昔のツレとちょっと約束が……」
昔のツレ?ホスト仲間か?と思ったが、何かピンときた。
「あー、元カノと会うんか?」
と突っ込むと
げほっごほっ!
ユズは盛大にむせた。
この反応から言うと図星だったに違いない。
「え!?ユズが元カノと!」と地獄耳の壱衣が振り返り、菜箸を握っている。
「くっそ!羨ましいぜ!お前、その子に頼んで誰か紹介してくれって頼め」と目が真剣。
壱衣…お前こないだまで好きな女がいるっぽく、色気づいてたのに、もう失恋か??
「そう思いやせん?マサさん」と壱衣がマサの方を振り返り、当のご本人は味噌汁を作っているだろう、鍋の中でひたすらおたまを回しながら、ケータイを見てデレデレ。
「何だ、お前も女かよ」と、マサの方を見ると
「いえ!そんなんじゃなくて!アヤメさんとは…!」と言いかけて、はっと口を噤んだ。
アヤメさん…?
マサがアヤメさんに恋!?
こんなクマみてぇな男、アヤメさんに不釣合いだし。そもそもアヤメさんはドクターの女だし。
まぁ?奇人変人のドクターと、クマみてぇなマサと……結構いい勝負だな。
てか、みんな色めきたちやがって!あたしがプチ喧嘩(?)中だってのに。
「んで?元サヤに戻るんか?リコのこと諦めたみてぇだな」
とユズに向き直って言うと
「いえ!リコさんのことは諦めてないっス!何かソイツが相談事があるって電話が来て、でも話聞くだけで、もしそういう流れになっても俺はリコさん一筋なんで!」
とユズは勢い込む。
ユズ……いい加減諦めろよ。



