。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



あたしが休憩から戻ると、入れ違いに戒が出勤してきた。


あたしがぎょっとするぐらい、戒はその顔に大小の傷を負ってて


「キャー!!龍崎くんっ!!その顔どーしたの!?」


と、あたしが心配するより早くおネエ店長が声をあげて顔を青くする。


「すみません。ちょっと……野良犬に襲われて…?」


と戒は苦笑い。


「野良犬?この東京で?」とおネエ店長は、あたしの突っ込みたいことを代弁してくれて、ちょっと不審そうにしていたが、それ以上は突っ込まず


「あんたはその顔でホールにでちゃだめよ。今日も厨房」


と言って、戒は半ば強引に厨房に押し込まれた。


戒の怪我が気になったが、あたしはホールで、戒は厨房。昨日のそっけない態度と言い、理由が不明な傷と言い……色々聞きたかったけど、今は無理そうだな…


「また龍崎、厨房?」とすぐ近くでホールスタッフ(男その①)が他のスタッフ(男その②)に話しかけていて、


「顔のあちこちに傷作ってたよ」と、その②が答える。


「あいつ、顔に似合わず時々、すっげぇ怖いときあるしな……暴走族とかじゃねぇの?喧嘩とか?」


「イマドキ暴走族?まぁそれもあるかもな。所々ヤンキーっぽいし


あいつの知り合いの客、みんな普通ぽいけど、あいつ客たちが来る度不機嫌になってたし」


「だよな~


龍崎さんの従兄妹とか言ってたけど、あんな従兄妹持って龍崎さんも可哀想だよな…」


と、何故かあたしに同情気味(?)


戒……


おめぇ隠してるっぽいけど、ワルの空気駄々漏れだぜ。


ガッコではあんなうまくやってるのに。とちょっと不思議そうにしたが、


まぁ考えりゃ学校に、叔父貴や鴇田やタイガが訪ねてくることないしな~


“ホゴシャ”の呼び出し食らうこともなく、ネコちゃん被ってるし。


と言うわけで、結局、あの傷をどこでこさえたのか聞けず、その日あたしは戒より3時間早くあがることになった。