「あ、あいつがどうした?エリナに何かしたんか?」


思わず前のめりになって、声を低めると


『ううん。あたしは連絡先さえ知らないし……』


そっか…


まぁそうだよな。普通に考えりゃ。


『朔羅、親しそうだったし、また会えたらいいな~って思って』


親しく……したくねぇよ、あんな変態野郎!


と思わず口に出そうだったが、何とか思いとどまった。


「だけどエリナ趣味悪いよ。あいつああ見えて…」


子供が居る―――


とは流石に言えない。てかそもそもカズノリくんがあいつの子供かどうか分かんないし。


『趣味……悪いのかなーやっぱ……だからあのコーチに付け込まれるんだよね』


エリナがちょっと悲しそうな声を出して


「や!違う違う!」あたしは慌てて否定。


「だってアレはあの淫行コーチの方が一方的にエリナのこと好きみたいだし」


そう考えたらあの淫行コーチも変態だな。


女子高生を脅した上、関係まで迫ってきて、挙句の果てストーカーになるとか!


てか変態以前の問題で、人間として腐ってる。


そんなことを考えてると知らず、


『ガールズバーで働いてたときはね、当日欠勤だと罰金取られたの』とエリナが話を変えた。


「え!そーなの??」


『うん、だからあんまり休めなくて……』


そりゃそうだよな……金稼ぎたくてそう言う所で働いてるのに。


「てかさー、ガールズバーって夜遅くまでやってんだろ?(よく知らないけど)


エリナのお母さんとか心配しなかった?」


『うん……色々言い訳……て言うか嘘ついてたから…


友達の家で勉強してくる、とか…』


「そっかー……」


『でも結局こんなことになって…学費稼ぎたくて働いたのに、本末転倒って言うか…』


ほんまつてんとー??


意味が分からなかったが、あとで戒に……と言う所で慌てて頭を振った。


あいつのことは今考えたくない。