キッチンを出ると、すぐダイニングになっていて、そこで行き交う光の線が見えた。
ダイニングに向かうと響輔と遭遇した。
「ここもクリアみたいですね」
「ああ、お前は一階を調べろ。俺は二階に行く」とリビングの向こう側にある階段を目配せ。
「了解」
ここでまたも二手に別れて、俺は足音を殺して二階に、響輔はバスルームやトイレなんかを回っている。
『バスルーム、クリア』
「二階の手前の部屋クリア」
俺が忍び込んだ二階の一番手前の部屋は六畳ぐらいの広さで、シンプルなデスクとシングルベッドがあった。野球のバットやグローブなんかも転がっていて、そこが
カズノリの部屋であることに気づいた。
ちょうどいい。バットを拾い上げ、俺はクローゼットをそっと開けたが、中に人は潜んでいなかった。
だが、クローゼットに入っていたカラーボックスの引き出しがあちこち乱雑に開いていた。
俺は引き出しをちょっと開けると、中から衣服が出てきた。それを床に放り投げ
どうやら、家人は慌てて出て行ったようだ。
ちょっとため息を吐いたところで
『やぁ。君たち。
家探しはうまく行ってるかい?』
内耳イヤホンを通して、覚えのある
―――タイガ
の声が聞こえてきて、俺は目を開いた。