。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



結局、後日本人を連れてくると言うことでカタがついた。指輪のサイズも本人が居ればその場で計って貰えるだろう。


着手金と言う意味で俺は7万を払った。手持ちの半分の額だ。


店員は少しぎょっとしたように目を開き


「多すぎます。1万円で結構ですよ」と何とか笑顔を浮かべる。


「いえ、必ず買いに来ますので」と言い置き、連絡先として名刺を一枚手渡した。


「トキタ会計事務所、所長様で会計士さんでしたか」と俺の事務所と肩書を読み上げ、納得したようで少しほっとしたようだ。


確かに事務所の所在地は東京の一等地だし、事務所の所長とあれば納得いくものだろう。


「私は何に見えます?」逆に聞いてみた。実の所他人にどう見られてるか少し気になっていた。


「どちらかの社長様かと。でも会計事務所の所長様であられたのなら社長様も同然ですね」


そう言うものなのか。まぁ世間一般的のサラリーマンに比べてはかなりの年収だが(何せ※ブラックカードだしな)※ブラックカードはクレジットカードの最上級のカードです。年間費は30万円程度。超!高級カードですね♪つまりそれぐらいのセレブリティな人しか持てません(◎_◎;)


店員は笑顔を浮かべ、それでもキッチリと俺を店の外まで見送ってくれた。


「ありがとうございました」


俺の担当をしてくれた店員の他きっと手の空いていた全ての店員が頭を下げ、何だか気恥ずかしい思いでその店を後にした。


俺がブラックカードを出したからか?それとも全ての客にああなのか?はじめての指輪購入で俺は色々初体験をさせられた。


気付いたら休憩時間は残り10分を切っていた。結局外でランチをする時間もなくさっき立ち寄ったコンビニでおにぎりを二つ買い、コンビニの袋を手に戻ると


「何だ?てっきり外食してくるかと思ったが」と会長が不思議そうにしていて、しかし「どこへ何をしに行った」とは聞かなかった。まぁ昔から俺が何しようがあれこれ干渉しないお人だったが。


俺が社に戻る前に会長から電話があった。


「早く戻ってこい」と言う類ではなく、お嬢のグループ旅行について聞かれたから俺は素直に応えた。会長の方もそれ以上詮索してこず、納得したのかしてないのか短い通話は終わった。


会長は、お嬢が虎間 戒と旅行に行くのが気に食わないようだったが、聞いたところキョウスケも行くし、イチも居る。お嬢の友達も何人か参加と言うことで、まるで修学旅行並の健全な旅行だと踏んだ。


結局、コンビニの味気ないおにぎりを会長室で食って、仕事を再開させるも意外に業務は簡素なものだった。怒濤の締日を過ぎたばかりだからか、静かなものだ。


特別、急ぎの案件が無かったと言うのもある。


会長は暇つぶしでプールのパーティーに出かけられ(きっとそこで新しいビジネス相手を探されるに違いない)


会長は「お前たちも自由にしていていいぞ?」と一言言い添えて。


俺は今度こそキリと二人きりになった。