「おっせぇよ」思わず戒を睨んだ、けど……(最終的には)助けてくれてちょっとほっ。
戒はあたしの手からスマートにスーパーの袋を抜き取ると
「いっぱい買いこんだんだな~、あ!花火!」
と言って花火セットを取り出す。
花火セットはレジの手前に並べられてあった。大勢が楽しめるよう結構な量を買った。
「そ言えばお前のスケジュールだと、今日は20時~花火だったよな。いいのゲットできて良かったな」
戒は花火セットを仕舞い満足そうに白い歯をにっと見せて笑う。
「お、覚えててくれたの…?」
「は?そりゃ覚えるだろ」
「だって一瞬だったし…スケジュールぎっちりだったし」
「そんなん一回見りゃ覚えるわ」戒は苦笑。「それに……」戒は手をあたしの頭にぽんと乗せ
「お前が楽しそうに計画してたからな、絶対忘れたくなかった」
あたしの顏を覗き込んできて、あたしの頬はかぁっと熱くなった。
『嬉しい!』て即答できればいいんだけど、素直になれないあたしは「肝試しはやらないからな」と口を尖らせるのが精一杯。
こんなん可愛げないなー…とか思うケド、あたしはどうやってもリコやエリナみたいに素直に甘えられる可愛い女の子にはなれないみたいだ。ついでに言うとイチのように大胆にも…
駐車場に戻ると大半のメンバーはだいぶ回復していたようで、しかし別荘までの帰りの運転はイチにお願いした。
もうあんな思い二度とごめんだ!
イチは特に文句を言う分けでもなく素直に車のエンジンを掛け、今度ばかりは助手席にキョウスケが乗って後部2シートでは若干のメンバー交替はあったものの、平和に…と言うか無事に!別荘にたどり着いて良かったぜ!



