。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



俺が身を引くと


「千里、母さんも。お前ら二人は二階に行ってこい。


俺はこの千里の“友達”と話がある」


と廊下の方を目配せ。


「え~なぁに?内緒話?」と一ノ瀬の母ちゃんは口を尖らせ


「そうだよ!親父、こいつの話なんて聞くことねぇって!どうせくだらないことだから」


と一ノ瀬は俺を指さし


「いいから、言う通りにしろ」


と一ノ瀬の親父が静かだが、どこかドスを含んだ声音で言うと、二人は慣れているのか


「はぁい」
「……分かったよ」



と、それぞれ立ち上がった。二人が廊下の奥に消えていくのをきっちり見届けて、一ノ瀬の親父が再び俺に向き合う。




「で?琢磨の倅が俺に何の用だよ。


何を聞きにきたんだ?


朔羅もあの事件を気にしてたが。


琢磨から聞いてねぇのか?俺ぁあの件の一線から外された。




詳しくは知らねぇ」




と、単刀直入に言われ、その間が俺にはありがたかった。


「話が早くて良かったですぅ♪」と俺はよそ行きの声で答えると


「お前、表情と言葉が伴ってねぇよ。ネコ被ってないで、早く用件ってのを言え」


一ノ瀬の親父はせっかちに言い、眉間に皺を寄せた。





「なら話が早い」





変わり身の早さは自慢だ。俺が声を低めて


「一課?四課―――?


どっちでもいい。どっちかに



タチバナと言う男と


彩芽と言う女がいないか?女の方は苗字は知らない」




口早に説明すると、一ノ瀬の親父は


「知ってるが、あの二人に何の用があるってんだ」




「俺は畑中組の情報を握っている―――


タチバナか彩芽さんとどちらかと取引したい」