「マジでさ、俺アイツのこと大っ嫌いだし、朔羅に纏わりつく鬱陶しいムシだから、どっかいってくんねーかなぁ?とかじゃなく、あんたら結構お似合いだと思うけど?」


俺は風車小屋のてっぺんら辺を見ながら言った。


「てか、俺そんな陰険じゃねーし。男だろ?闘う時は真正面から闘う。


響輔の時と同じようにな」


「あのおにーさんのときと……同じように…?」


新垣 エリナがようやく顏を戻し不思議そうに目をぱちぱち。


「てか俺の兄貴じゃねぇから。一ノ瀬が朔羅にマジなのは分かってンよ。それでいて俺とマジで闘う気があるのなら、俺は受けて立つ」


朔羅は今、風車小屋のどの辺なんだろう…


ぼんやりとその様子を思い浮かべてると


「龍崎くん……ちょっとかっこいいね」


と新垣 エリナが隣でちっちゃく言った。


「は?どこが?」さっきは卑怯とか言ったくせに。


俺が顏を戻し目を細めると、


「かっこいいよ。そうやって言い切れるのって。でも惚れないよ?だって龍崎くんはサクラが大好きだし、サクラも龍崎くんが大好きだし」


新垣 エリナは悪戯っぽく微笑んでいて


「一ノ瀬くんかぁ」


両手を組むと伸びをして、「んー、考えとく。この旅行で変わるかもしれないし」


「頑張れよ」頬杖をついて遠くを見ていると


「何-?さっきは正々堂々と、って感じだったのに」と笑った。


しかしその笑いを途中で止めて「でもさ、さっきのお兄さん…タイガ…さんだっけ?龍崎くんはその人のことが




怖いの?」




と聞いてきた。




怖い―――?