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** 戒Side **



「いってらっしゃ~い!♪」


いぶかる朔羅を一ノ瀬が連れていき、二人は風車小屋に消えていった。


普段なら絶対一ノ瀬なんかを頼りたくないけれど、致し方ない。


俺らは暑さをしのぐ為、風車小屋からさほど離れていない木陰になってるベンチに腰掛けた。白樺で作られたベンチは所々オシャレに蔦が巻き付いていて、花なんか咲いている。


「暑いね~、何か飲み物でも買ってくる?」と新垣 エリナが言い出し


「そだな。ちょっと待ってて」俺はベンチに新垣 エリナを残して、さっき行ったキッチンカーでオレンジジュースとアイスコーヒーを買った。


ドリンクを受け取る際、キッチンカーの兄ちゃんも暇だったのか


「ダブルデート?楽しそうだね」と笑いかけてくる。


「はい~、そんなものです」俺はよそ行きの声と笑顔で答えると


「彼女可愛いね」とベンチに座った新垣 エリナを目配せ。


「いえ、僕の彼女はそっちじゃなくて、今風車小屋に行った子です」


「え!そーなの?」と兄ちゃんは大げさに驚いた。


何だよ、あそこに何かあるんか?


「キミ、追いかけて連れ戻さなくていいの?あそこの頂上で愛を告白すると叶うって言うジンクスがあるんだよ」


へー…そう言えばMIRACLEランドにもそう言うのあったな。どこにでもあるんだな、そうゆう根も葉もない噂話。