結局、戒のリードであたしたちは話題のソフトクリームを食べに行くことに決まった。渋々ついていくあたしだったけれど、その店の売りにしているカフェオレソフトは、超!!うまかった!
「何これ!うまっ」感動して思わず口にしてしまうと
「ほんま?」と戒があたしを覗き込んできて、あたしの手の中にあるソフトをあたしの了承も得ず(まぁ戒が買ってくれたから良いっちゃいいけど)ペロリと一口。
「お♪ほんまや」と戒はご機嫌。「コーヒーのコクがあるな」
「ブラックコーヒー飲めないけど、これはうまいよな♪」何だかいつもの二人に戻れた気がして戒に笑いかけると
「朔羅、ソフトついてる」と戒が言って
「え?どこ?」と手鏡を出そうとすると
「ここ」と言って予告もなく戒の顏が近づいてきて、あたしの口元をペロリ。「うまっ♪朔羅の唇についてたから旨さ倍増♪」
へっ!!!
「おいっ!!龍崎っ!」と千里は喚いていたけど
「ラブラブだね♪」とエリナは気にしてない様子。
た、確かにラブモードは嬉しいけど、ここっ!外!
恥ずかしさに顏が赤くなる。
そう言えば……この旅行で戒はやたらとキスをしてくる。ちょっと前まではそれを拒んでいた…と言うより距離を置かれてた気がするけど…
「あ、あっちにアップルパイの店がある」と戒は楽しそうに指さし。
戒が指さした先はワゴンタイプのキッチンカー。
赤やグリーン、黄色の明るい色合いでそこから甘い香りが漂ってきた。
「旨そうだな」と千里が視線を送り、「行こうよ」とエリナが頷いた。
二人がキッチンカーに向かっていって、自然あたしは戒とその後を追う。
「なぁ、お前何考えてんだ?」と疑いの眼で戒を見上げると
「ちょっと…な」と戒は言葉を濁す。