。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



朔羅から聞いてた年齢は46歳で歳相応の雰囲気だが、顔はどっちがヤクザだよ、と突っ込みたくなるぐれぇ極悪顔だ。マサさんといい勝負だな。


「ふー、暑ちぃ、母さんビール」と言いながら、のんびり入ってきて俺を目に留めると


「あ、お客さん?」と慌ててタオルを首から抜き取る。


「そうなのー、千里のお友達でね、龍崎くんて言うのよ~


朔羅ちゃんの従兄妹ですって」


と母ちゃんがころころ笑って「ビールだったわね」と言い、冷蔵庫に向かう。


俺は見逃さなかった。一ノ瀬の親父の眉がぴくりと動いたのを。


正直、この親父が俺のことをどこまで知ってるか分からなかったが、少なくとも俺が“龍崎ではない”ことを知っている、そんな感じだ。


だが険しかった視線は一瞬だけで、次の瞬間笑顔になって


「そうか、千里と仲良くしてくれてるみてぇだな」


と言い俺の向かい側に腰を降ろすと、母ちゃんが取り出したビールを受け取り、何でもない素振りで缶に口を付ける。




さすが「組対」なだけある、場馴れしてるって言うか、見慣れてる感じだ。




一ノ瀬の親父の隣で


「別に!仲良くねぇよ!」と一ノ瀬が目を吊り上げていたが、一ノ瀬の親父はビールを飲みながら


「こんな倅だが仲良くしてやってくれ」とぶっきらぼうに笑う。


不思議だ……


笑うと余計に人相が悪くなる。





流石「マルボウ」だな。一ノ瀬は母ちゃん似で良かったんじゃね?