そーいや、あたしもタイガの番号知らないや。
「ん~…でもその人もサクラのこと好きっぽいんだよね」
「なぬ!」千里が勢い込んだ。
安心しな、あいつはいつだって本気じゃねんだから。
てか千里が牙を剥いたら、お前も狙われっぞ。
番犬VS狼の闘いだからな。千里なんてタイガに丸のみされるに決まってる。
「ところで、そいつ何歳ぐらいなの?」と千里に質問されてエリナは首を捻った。
「ん~…見た目は20代後半~30代前半ってとこかな」
「随分年上だな、俺から見たらおっさんだけど」
「おっさんじゃないもん」とエリナが頬杖をついたまま頬をちょっと膨らませる。
ああ…エリナ…あんた何でそんなに可愛いんだ!タイガには勿体なさすぎる!
てか何気に恋バナ盛り上がってる??
「おい、行くぞ」戒が突然あたしの手首を握り樹の影から出た。
「ちょっ、行くってどこへ!」あたしの意見を無視して戒は大股に歩を進め、二人が居るパン屋に向かった。
「お、おい!あたしたちが尾行してたのバレちまうじゃねぇかよ」あたしはひやひやしたが、戒はそんなひやひやあたしを無視して、棚に並べてあるパンを適当に数種類取って会計を済ませると、何と!千里&エリナのテーブルの横に向かった。
何で!
戒の奇行に分けも分からず目を開くことしかできないあたし。
けれど戒は
「偶然~☆お前らもここに来てたんだな一ノ瀬」と戒が千里にニヤリと笑いかけ「新垣さんも」と、こっちは美少年スマイルでにこっ。
「な、何でお前らが!」と千里はあたしたちを指さし目を開いている。エリナは「すごい偶然~」と笑っている。
「何でってさっきも言ったけど、偶然に決まってるだろ?朔羅が入りたいって」
あ、あたしのせい!?



