ど!どうしようこの展開!!
てかタイガは!?エリナはタイガのことが好きってほざいてなかったか!?
くっつけようとしてたけど、いざとなるとおろおろ。
思わず戒を見上げると、戒は肩をすくめた。
千里に至っては口をぽかんと開けて間抜けな表情でエリナを見ている。
やがてエリナがちょっと笑いながら
「ごめんね、冗談が過ぎたね」と軽い調子で言う。
へ!?やっぱジョーク!?
どっちだ!ぐわっ!分かんね!
「新垣さんさー…」千里が口を開いた。何を言うつもりだろう。
「そうゆうの控えた方がいいんじゃね?勘違いする男も多いし、それがトラブルを巻き起こす種になるよ」
せ、千里!!ハッキリ言うな!
「こればっかりは俺も同感」と戒があたしの背後で頷き
エリナはてっきり泣きだすと思いきや、目をぱちぱちさせて物珍しい何かを見るような目つきで千里を眺めている。
「やっぱ優しいね、一ノ瀬くん」
意外な言葉に面食らったのはあたしだけじゃなく千里も。
へ?どこをどーしてそうなる…
「ちゃんと意見してくれること、やっぱ優しいと思うよ?他の人だったら嫌われたくないから適当に流しちゃうところ、ちゃんと指摘してくれて」
エリナが可憐に頬杖をついた。
千里が向かいの席で顏を赤くさせている。
「あたしね~…好きな人…って言うか気になる人がいるんだー…」
それってやっぱタイガのことだよな…
「そうなの…?」
「でも脈無しなんだよね。そもそもその人の連絡先も知らないし。
でもね、その人も一ノ瀬くんみたいにちゃんと叱ってくれたの」
エリナ―――……タイガのこと何となく好きとかじゃなかったんだな。ちゃんと意味があったんだな…
「へー……」千里が頷く。間抜けな返答だった。「でも何で連絡先も知らないの?新垣さんが聞けば教えてくれると思うけど。そもそも新垣さんに好かれて悪い気がする男なんていんの?」
「そうゆう問題じゃないの。その人すっごく大人で…きっとあたしなんて眼中にないよ。
あ、サクラの知り合いでね」
「朔羅の?じゃぁあいつに聞けばいいんじゃない?」
あたしはまたも戒と顔を見合わせた。
戒が「お前の知り合い?…て誰」と聞いてきて、「お前の周りの大人の男って言やぁ、龍崎 琢磨か鴇田…?」戒は首を傾げ
「…タイガの野郎だよ」ギリギリと樹に爪を立てていると、一瞬……そうほんの一瞬だけれどまるで空気をも切り裂くような殺気を背中に感じた。
思わず振り向いて戒を見上げると、戒はいつも通りの笑顔だった。
何だ…やっぱ勘違いか…



