。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



その後は響輔さんと二人で加湿器を探すことに。でもこれが意外に手間取った。


段ボールの表面には一応中身の記載がされてるラベルが貼ってあるけど、『加湿器』と言う文字がどこにも見当たらない。


「あの女……ほんまに加湿器なんて見たんか」


響輔さんが忌々しそうに唸る。


加湿器を探しだして10分も経っている。いくら窓を開けているからって本来の暑さが和らぐことはなく、あたしたちは汗を流しながら加湿器を探した。


それから5分程経って、とうとうギブ。


「見つからなかったってことで謝りません?」と提案すると


「謝るのは癪に障るけど、仕方ないですね」と響輔さんも諦めた様子。


「それよりyouさんと先輩を二人きりにして大丈夫でしょうか。ほとんど初対面だし。キマヅイ思いしてるかも」今更ながら二人の様子を思い出し気にしてると


「確かに……黒髪くんはとにかく、一結が我儘言ってないか心配ですね」


あの…響輔さん…仮にも彼女ですよね。もっとyouのこと心配してあげるべきでは??


と思いつつ、あたしたちは結局加湿器を諦めて階段を降りると、意外に意外。二人はふつーに会話してた。何だか自然に馴染んでるし。


良かったのか、そうじゃないのか。心の中がちょっとムカムカ。


先輩が今更youとどうこうなるとか、あんまり考えられないけど、でもちょっと嫉妬と焦り。


だって目の前にはあんな美人な女優が居るんだよ!


階段を降りていくと


「遅かったのね、見つかった?加湿器」とyouが当然のように聞いてきて


「見つからなんだ。てかほんまに加湿器みたんか?」と響輔さんが腕を組む。


youはぷいと顔を逸らし、「見た気がしたもん」と子供のような口調で口ごたえ。you……昨日から思ってたことだけど、イメージとちょっと違う…


「ま、まぁまぁ…」と先輩が苦笑を浮かべて二人の間に入り、


「すみません、探しきれなくて」あたしがぺこりと頭を下げると、youはちょっと驚いたようにまばたきをして


「いいわよ、謝らなくて」と一言。すぐに顏をふいと背けられちゃったけど、youは逸らしたままほんのちょっと頬を赤くして


「ありがと……リコチャン……」


え―――……今あたしのこと“リコちゃん”って……