「あ、これお土産です。you…さんと響輔さんに」リコと言う子がおずおずと紙袋を差し出し、
「すみません、気を遣わせて」と言いながら響輔がそれを受け取り、あたしが紙袋の中身を覗いた。
「あ!すみません、あたしyouさんの好みとか分からなくて、中身トロピカルアイスティーです」と早口に言って慌てる。
「アイスティーは好きよ」と答えると、リコと言う子は分かりやすく安堵。ぎこちない笑顔をあたしに向けて、次いで響輔の方を見るとあからさまにパッと視線を逸らす。
響輔は彼女の不自然な態度に気付いていないみたいで
「キョウスケの兄貴にはこれっス」と言って黒髪くんに手渡された紙袋に手を突っ込んでごそごそしている。取り出したのは缶ビールだった。昼間っからビール??
響輔は戸惑いながらもそれを受け取りちょっと苦笑。
「俺は戒さん程飲まないですけど、ありがとうございます。外は暑かったでしょう?涼んでいってください」響輔が中に促し、二人はぎこちない動作で中に入る。でもより一層ギクシャクしているのはリコと言う子だ。緊張とは違う種類の……どこか後ろめたさを含めた俯き加減で、あたしたちの後をトボトボついてくる。
リビングに着いて黒髪くんが
「はー!ここは天国すね!」とカノジョの不自然さに気付いていないようで、両手をあげた。
「でもちょっと乾燥してるのよね……そうだ、響輔、加湿器持ってきてよ。上の物置にあったのを昨日見たわ」とあたしが言うと、響輔はあからさまに顏を歪めた。
「はぁ?また人使い荒いんやから」
それでも渋々頷き、
「あ、じゃぁ俺も見に行きますよ」と黒髪くんが手をあげ
「キミはここ。不審者避け」と言って黒髪くんを目配せすると彼は目をぱちぱち。必然的に
「じゃ、あたしが一緒に見に行きます。一人より二人の方が早いから」とリコと言う子がおずおずと手をあげた。
「そ?♪じゃ、お願いね~」と手を振ると、響輔は奇妙な生き物を見るような目つきであたしを見て、それでも大人しく「じゃぁリコさん、すみませんが手伝ってくれますか?」と言い、リコと言う子がぎこちなく頷いた。



