響輔はあたしの手を引いたまま、そろりと忍び足で階段を降りる。あたしも響輔の背中にぴったりとくっついて後を着いていく。
パタン…
静かに扉を閉める音が響き、びくりと肩が揺れた。
けれど
「あれー、キョウスケの兄貴たち居ないな」
「ホントだ…部屋で寝てるのかな」
聞こえてきたのは、あのリコとか言う女の子と響輔の友達…?いや、正確には違うみたいだけど。二人の影が階段下の床に伸びていてゆらゆらと揺れていた。
思いのほか安堵してほっと胸を撫で下ろす。
響輔もちょっと安心したように、あたしから手を離し、ゆっくりと階段を降りた。
あたしは慌てて響輔の後を追い階段を降りると、想像通り二人がひょっこり顏を出した。
「リコさん…金…黒髪くん、どうしたんですか」
てか金髪をわざわざ黒髪って言い直さなくても良くない?変なところ律儀ね。
リコと言う子はパーカーを羽織って、下は鮮やかなオレンジ色のパレオを巻いてある。黒髪くんはTシャツに水着姿。彼らは足の裏にくっついた砂を払いながら
「それが、戒の兄貴たちがコンビニ行ってて、ちょっと帰りが遅くなるみたいで別荘に戻ってろって」黒髪くんが言って
「ああ」と響輔は、どこをどう納得したのか頷き「外は暑かったでしょう?お嬢と一ノ瀬くんと新垣さんも一緒ですか?」と続けた。
「一緒です。ビーチバレーしてたんですけど、バツゲームでアイスを買いにコンビニへ」とリコと言う子が補足の説明をくれる。
ビーチバレー?罰ゲーム??
……ちょっと楽しそうじゃない。



