「あ……うん!色々あるから時間掛かっちゃった」ととってつけた言い訳を響輔は一応信じているようで
「あんたのバッグは異次元ポケット…もとい異次元バッグやな」と苦笑。
「煩いわね、女子は色々荷物が多いの」とプイと顏を逸らすと
「そいやお嬢たちのバッグも色々入ってそうやったな。まぁ大抵お菓子やろうけど。
昨日女子会ちゅうの?してたみたいや」
「女子会?」
「戒さんが言うてた」
「ふぅん」女子会……か。あたしはしたことがない。そもそも友達がいないし。でも、女の子同士で、その時ばかりはカロリーのこと気にせず好きなものを好きなだけ食べて飲みながら、賑やかに恋バナとかするのって……なんか楽しそう…
そう思ってハっとなった。
何言ってンのあたし。今まで女友達程、不必要なものはないと思ってたのに。
あたしには―――響輔がいれば充分じゃない。これ以上望んだらきっと……ううん、絶対バチが当たる。
あたしは響輔のTシャツをきゅっと握った。
「どした?」響輔が不思議そうに目をまばたき
「ううん、何でもない」
明るく笑おうとしたけれど、声は変な風にかすれた。
「やっぱ乾燥してるんやな……俺はあんま気にしたことあらへんけど。女優は声やって大切やろ?加湿器でも…」言いかけたときだった。
響輔はふいに視線を厳しくさせ、あたしの手首をきゅっと握った。
「響輔…?どうした…」最後まで言い切らない内に
「しっ!」響輔は小声で言い、唇に指を当てる。
な、何……
もしかして玄蛇が―――…!?



