自分の考えに嫌気を覚えた。
玄蛇の最後がどうなろうとあたしには関係ないじゃない。
それでも―――
「ごめん…」
あたしは響輔に謝った。
何に対して?
分からなかったけれど、反射的に出てきた言葉は謝罪だった。
ほんの僅か声がかすれているのは乾燥のせいだろう。エアコンは入れっぱなしになってるから快適だけど加湿器が無いから、どことなく肌もかさついている。
「ちょっとボディクリーム取ってくる」
と響輔に言うと
「うん」と響輔は頷き、特にあたしの様子に突っ込んでくる気配はない。
安心したのか、それともちょっと寂しいのか…
どちらでも無いような気がするし、どちらも有るような気もする。
とにかく複雑だった。
二階に行ってバッグの中からボディークリームを取り出そうとすると、バッグの底で玄蛇があたしに渡してきたペンダントが否応なしに視界に入ってきて、あたしは慌ててバッグのファスナーを閉めた。
『これがある限り、君は私以外の誰も手出しはできない。
もちろん、私の妹にも―――』
あのペンダントがどんな効力を持ってるか全く分からない。玄蛇とその妹の仲にあるシルシなのだろうか、或はお守りなのか。
でも玄蛇は『誰も―――』って言った。つまり妹以外にもこのペンダントの効力はあるってこと?
まるで魔法みたいじゃない。バカらしい。
それとも売ったら相当なお金になるとか?
うん、この考えの方があたしらしいわ。
今度、鑑定してもらおうかしら。
なんて考えてると
「クリーム、見つかった?」
ふいに、すぐ背後で響輔の声が聞こえてあたしは一瞬その場で固まった。



