「70%の確立で、すでに伊予原 椿紀とカズノリくんは身柄を移したと考えていいでしょうね」
「ああ、だから次の手だ。バイトが終わり次第、俺たちが合流。んでタイガのオフィスに“襲撃”だ」
“襲撃”とは言ったが、本当に襲うつもりはない。
事務所に行ってタイガを締めあげる。
前回あいつにやり込められたが、今回は響輔も一緒だ。しかも事務所内にはまだ社員が残ってる、あいつは下手な動きを取れない筈。
「けれどお嬢が我々の動きに気づいたら―――……?」
「それも先手を打ってある」
「先手…?」
響輔がここにきて初めて単眼鏡から目を離して、目をまばたきさせながら俺の方を見る。
「俺がヘタうったからな、自分のケツは自分で拭け、だろ?」
響輔はちょっとため息を吐き
「で?先手とは何をしたんですか?」と再び単眼鏡を覗く。
「龍崎 琢磨と同じことだ。
ネズミの一匹と
取引した」
俺の言葉に、響輔は再び単眼鏡から目を離し、ただ今度は驚いたように開いていた。



