エリナは浅く荒く呼吸を繰り返していて、コンビニを出た途端、その場に崩れそうになったが何とかあたしと戒が支えた。


駐車場の隅、輪留めのコンクリにエリナを座らせ


「大丈夫、あのコーチじゃないから。あいつはここを知らない」とあたしがしゃがみこみエリナの肩に手を置いた。エリナはそれでもぜいぜいと肩を揺らしていて、口元を覆っている。大きな目の目尻に涙の粒が浮かんでいた。


「過呼吸起こしかけてるな…、新垣さんゆっくり息吸って、吐いて…」戒がエリナの肩を撫でると、エリナは涙目になったまま何とか頷き、深呼吸をする。


「お、おい!大丈夫か!飲みもん買ってきたぞ!」と千里が飲み物とかが入ったビニール袋を振り回し駆けつけてきて、事情を知らないだろうがただ事ではない雰囲気にな何かしら察したのだろう、ポカリを一本取り出し慌ててキャップを開ける。


「これ飲んだらちょっとは落ち着くかも」珍しく気が利くぜ。


「……ありがと…」エリナは力なく頷いて千里からペットボトルを受け取ろうとしたものの、それを握るだけの力も残っていなかったのかエリナの手からそのペットボトルがすり抜けそうになる。


「礼は良いって…それより大丈夫か?」


慌てて千里がエリナの手にそれを握らせると、エリナがちょっと目をまばたいた。


「……一ノ瀬くん……ありがと…」


エリナはもう一度言って、今度こそぎこちないものの微かに微笑んだ。