途中キモ金髪が
「姐さん!それは危険な技じゃ!」とキモ金髪が目を開いて
「煩せぇ!聞こえるだるぉうが!」と慌てて頭を押さえるとキモ金髪は大人しく、そして真剣な顔つきで
「じゃぁ作戦Aってことで」と頷き
「おうよ!負けてられないぜ!」あたしは意気込んだ。
それからまた長いラリーが続き、しかしチャンスは思いがけない時に現れる。
ボールが浮いた!その時を狙ってあたしは走りだした。
「キモ金髪!」
「はいっ!姐さん!」キモ金髪はその場で立膝を付き、両手を合わせて構える。
その手を踏み台にしてあたしは飛び上がった。
「川上!どけ!!」
リコの足元を狙ったつもりだったが、それよりも戒の方が早く察知した。
戒が飛び上がり腕を投げ出したが、その手はボールを掠めることなく戒の頬の横を通っていった。
ドサリ、と戒が砂の上に倒れ、でもリコには命中していない。ただ…
狙った場所にボールが砂にめりこんでいて、リコは顏を真っ青にして口元に手を当て
戒も
「こ……怖っ」と青ざめている。
ふふん、あたしが本気だしたらこんなもんよ。
と思ってたが、その後2セット目は戒&リコチームが取り、後がなくなった両チームの接戦の末
勝ったのは戒&リコチーム。あたしとキモ金髪は
負けたぜ。
「くっそ!あと少しだったのにぃ!」歯軋りをして、ネットの向こう側で飄々としている戒を恨みがましく睨んでいると
「しょうがないっスよ、やっぱ戒の兄貴には勝てませんよ」と顏や体を砂まみれにしたキモ金髪が苦笑い。
「そうだよな、お前もよくやってくれた……
安心しな。ケツモチ(トラブル解決の際に出てくる巨大組織やそれに相当する人を意味するものでバックについているヤクザがトラブルを処理することがある)はあたしがやる。
ケジメはきっちり取らさせてもらうぜ」と腕を組み、しみじみ言うと
「姐さん……」とキモ金髪がうるっと瞳を潤ませ、
まぁ、こいつには別荘貸してもらうって借りがあるからな。アイスぐれぇなら。
「「ねぇ、ケツモチって…?」」とリコとエリナが首を傾げて
「知る必要はねぇよ」と戒は苦笑い。
………
はっ!
しまった!!あたしとしたことが!ビーチバレーでキャッキャ言いながら楽しむつもりがぁ!
何、本気モードになってんの!
こんなん可愛げないし、ヤクザ丸出しじゃん!(←今更)



