。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。




何でだ―――…


何であたしは気配を読み違えたんだ?


エリナはあたしに決して悪意を見せてない。ましてや殺気を放ってることもない。今も楽しそうに「アイス食べたいね~」とふわふわ、いつもの笑顔で笑っていて、そこに悪意の欠片も感じなかった。


単なる読み違いだと思いたいが、気を抜けない。何せ脱獄囚が捕まってないからな。


でも、この旅行だけは楽しみたい。


あたしは気持ちを切り替えてエリナと手を繋いだままビーチに戻った。


走る度、砂に足を取られ進みづらい。振り返るとあたしとエリナの足跡が別荘から続いていた。


何となく眺めていると、ふと強い風が吹いて砂嵐が巻き起こった。


「わ!」


思わず目を庇い、再び足跡の方を見ると風がさらっていったのか、足跡は消えていた。


まるで一切の形跡を残さないスネークの存在を急に思い出して思わず身震いが起こった。


一切の痕跡を残さず―――あたしもあんな風に消されるのか、何故だか急に思った。


大丈夫、さっき感じたあの気配はあの巨大で悪意、殺意のあるスネークとは比べ物にならないぐらい。てか、エリナだったんだけどね。


大丈夫。


()られる前に()ってやる。


とりあえず…


「リコ~♪待ったぁ?」とエリナの明るい声を聞いて我に返った。


「おそーい」と二人の可愛いやり取りを聞いて、あたしはブンブン首を振った。


せっかく旅行に来たんだから、楽しまなきゃ!!