「「ぇえ!龍崎くんと一晩中一緒に居た!?」」


リコとエリナ、二人の声が揃って、


「しー!ってか!何もしてねぇよ?」


あたしは包丁でパプリカを切っていた最中、その手を止めて慌てた。


「えーそぉなの?」とリコはレタスをちぎりながら不服そうに唇を尖らせる。


リコ……何が不満なんだ…


「あたしサクラが居なくなったの全然気づかなかった」エリナが卵をボウルに割りながら笑う。


てかエリナも、何げにひでぇな。


今は女子チーム3人で朝食を作ってる最中。昨日伝えた7時起床時間を数分過ぎた所で、千里とキモ金髪が欠伸をしながらダイニングにやってきた。


「おはよ」と千里が欠伸で変な風に裏返った声で挨拶してきて


「おうよ」とあたしが返し、「おはよ~一ノ瀬くん」とエリナが千里に笑いかけると、またまた千里はちょっと恥ずかしそうに「……はよ」と短く返す。


一方、リコの方は


「おはよー千里……と、進藤先輩」


どこかはにかみながらキモ金髪を見上げ


「おはよ!」とキモ金髪はこっちがちょっとうんざりするぐらいテンション高めだ。寝起きにリコの笑顔を見れて幸せってか?


でも、


「おはようございまっす!姐さん!」としっかりあたしに慌てて挨拶してきて、朝から無駄に暑苦しいんだよお前は。


「おう、お前ら朝食はパンとご飯だったらどっち派だ?」と聞くと


「俺、白米派す」とキモ金髪が手をあげる。


「「あたしたちはトースト派」」とリコとエリナが言い、千里はご飯派と言うこと知ってるから聞かなくても分かるし、戒は……


リビングのソファで首を揺らしている。


あいつの分はいいか。元々朝食食わない派だったしな。


「てか、キョウスケたちは?どっちか聞かなきゃ分かんねぇじゃん」


と時計をちらりと見ると、朝も7時半を過ぎていた。キョウスケはどっちでもいけると思うケド、イチの方が分かんないしな…


てかキョウスケ…あいつが寝坊とか……珍しいな。


「ちょっと聞いてくるよ。キョウスケは飯食べる派だから」


あたしはエプロンを取り去り、階段を上った。