守りたい―――



本能……


そっか…そう言うもんなのか。


「でもお前寝てないんだろ?朝飯食ったら寝ておけよ。キョウスケだっているし」


戒と旅行の二日目、いっぱい遊ぶことを考えたけれど、寝不足に無理させるのはよくないし。


あたしがちょっと身を乗り出すと、戒はまた一歩後ずさる。


「何だってんだよ!あたしゃ心配して…」


と言う言葉を戒が遮った。




「だからだよ!俺は一睡もしてない。お前は無防備に俺の隣に寝てる。


その状況の中、俺は理性と必死に闘ってた。


寝てないからな、変なアドレナリンが出てるかもしれねぇし、お前に手が出そうなんだよ!」



へっ!?


ぽかんと間抜けな顔で戒を見ると


「そう言うわけだよ!だからあんまくっつくな!」


戒は本気で睨みを利かせて、あたしを見てくる。


「わ、分かった!何かごめん」あたしはベッドの上で正座をしてしゅんとしてると


「いや、お前が悪いワケじゃないし……これは男の問題って言うか…」


戒…それ以上は言うな。


それからと言うと…あたしは戒のお部屋からこそっと出て、隣の女子チームのお部屋をそっと覗くと、リコが身支度を整えていた最中だった。エリナはいない。


鏡に向かってグロスを塗り塗りしていたリコが顏を上げると、鏡の中で目がバッチリあった。


「あれ?朔羅、どこ行ってたの?」


「あ!えと……せ、洗面所!顏洗ってた!」


く、苦しい言い訳~…していると


「あ、サクラ、おはよ~どこ行ってたの?」と部屋に入ってきたエリナが昨日の夜見た寝間着姿で現れ


「洗面所今は誰も使ってないよ~、今使えるよ?」


………


エリナの悪意のない言葉に…いやむしろ善意しか感じられないが、


「朔羅~、ホントはどこへ行ってたの?」


ムフフとリコが笑い、


「え?え?」とエリナがリコとあたしの間で視線をいったりきたり。


ああ、せっかく楽しい一日が始まりそうってときに、早速嵐の予感!