。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



極道の男は女を大切にする生き物だ。


だから―――“これ”は間違いなく『裏切り』だろうが




俺はキリ―――…


お前が見えなくなってるんだよ。




大狼


朝霧―――…



今の所、あの兄妹が互いに面識があるのかどうか分からないが、


でもキリは玄蛇の生き残りと言うことは間違いない。




キリ―――…




俺はマネージャーと口づけをしながら、最低なことを考えていた。


このマネージャーにキリを重ねたのか。キリから逃げたい為に、マネージャーに顔を近づけたのか。


マネージャーも夫から…いや、現実から逃げたい為だったに違いない。


でも


逃げたいと思っても、何で忘れられないのだろう―――


最初は深く愛情なんて抱いてなかった。だから結婚を決めた。でもやっぱり俺はキリの事を



愛して―――






「……ごめ……なさ!!」




マネージャーが慌てて後退して、俺もそれ以上何かを仕掛ける気などなかったから、元居た場所に戻った。


「……すみません」


俺も謝った。額に手を置き深く吐息をつく。




「あなたはyouのお父様でいらしゃって、私はyouの母親を気取ってました。


でも、本当の意味で私たちは



家族にはなれない」



分かっている。


魔が差した、とは言い方が悪いが…いや、どんな言い方に変えてもその事実に代わりはない。


寄りに寄って娘のマネージャーの女とキスをした、なんて―――



最低だ、俺は。