「イチの自殺未遂がこのアイドルによる苛めが原因ではないこと、あなたなら知ってる筈だが?
それに自殺未遂をしたことを知ってる人間はごく一部だ」
俺が無表情に淡々と言うと、マネージャーは来たときと同じように身を縮ませた。
俺は暗にこのネタをリークした者が簡単に想像できた、と含ませたがマネージャーはどうやら言い訳をするつもりはないらしい。
「元々は、ルミの元風俗嬢だったことと、俳優との熱愛のネタを雑誌社にリークしたのは別の者です。私たちは……少なくとも私には、そのリークした人物の見当もつきませんでした。
もちろんyouにも確認しましたが…」
「あいつはこんな回りくどいことしませんよ」
バサっ!
やや乱暴とも思われる仕草で雑誌をテーブルに放り投げ、テーブルに肘を付きながら下唇を噛み締める。
その動作にまたもマネージャーの肩がびくりと大きく揺れた。
「雑誌社にリークされた直後、ルミの事務所に発行前のゲラ擦りが回ってきたみたいです。そこのいきさつも私は詳しくは知りませんでしたが…
でも、雑誌に書かれていた通り、youとルミの仲は誰もが分かる程険悪なものでした。一方的にルミがyouのことを嫌ってるだけでしたが。確かにルミの我儘のせいでyouはもちろん、現場スタッフたちも迷惑がっていたフシはあります。
そんな状況でこんな記事が出回ったら、絶対youが疑われる」
「まぁ、よく分かりませんが状況証拠的なものでしょうね」そっけなく言うと
「記事はルミの事務所との話し合いの中、当初は握り潰す予定でした。
ですが、TwitterなどのSNSにはすでにネタは出回っていて拡散もされていたので、今更雑誌の発行を止めた所でどうにもならないことも…」
「で?何で一度握りつぶそうとした記事が出回ったんですか?」
普通に聞いてるつもりが、どうやら俺が言うと尋問口調に捉えられるらしい。
マネージャーは身を縮ませて
「私―――です…」
彼女の言葉を半分…いやほぼ予想していたから、さほど驚いたりはしなかった。ここで妙な納得をしたのだ。彼女がここに来た本当の理由を―――



