もはやキョウスケに何かあった!ていうのは明白だ。


あたしは階段を駆け上り


「待てって!朔羅っ!」と言う戒の制止を振り切り


キョウスケ&イチの部屋の前で、扉を蹴破った。扉は鍵を掛けてなかったのか、あっさりと向こう側に開いた。勢いを付けて蹴破ったから、扉が壁に当たって反動でゆらゆら震えていた。





「キョウスケっ!!どうした!?」




と、怒鳴ると同時に視界に飛び込んできた二人……


は…二人とも上半身裸に近いかっこで、抱き合い、キョウスケがイチの太ももを持ち上げていて、イチは…と言うとキョウスケの首にしっかりと腕を絡めていて…


キス―――をしている最中で…



へ!!?



「ぅわ!」

「キャァ!」



と、数秒遅れでキョウスケとイチの言葉が重なり、そこであたしがとんでもない状況に飛び込んでしまった、と言うことを自覚した。


つまり……おタノシミ中だったわけで…


ギャァ!!


「響輔っ…すまん!止めたんやけど!」と戒が放心したあたしの腕をちょっと引いて、さらには周れ右をさせて背中をちょっと押す。


「ちょっとしたハプニングやさかい…堪忍なぁ。


そいじゃ、お二人さん続きごゆっくりぃ♪


響輔、あんじょうきばりぃや♪」


と、戒の言葉を聞き流しながら、あたしはまだショックから立ち直れてない。


あんま……てかほとんど無いけど、人の濡れシーンを見たのは初めてだ!


しかも美男美女の絡みだから、何だか変ないやらしさはなく、すっごくきれいに見えた。


海外映画を観てるみたい。


あの二人からするとあたしなんてまだまだお子ちゃまだな…


って!冷静に分析してる場合じゃない!


さっき、ちらっと思った。キョウスケとイチはちゃんと付き合って昨日今日の関係だ。そんなすぐそんな関係にならないって…


あたしの勘めちゃめちゃ外れてるじゃん!


そして戒が「大丈夫やって」と言った意味がようやく分かった。つまり戒はそこんとこの勘がめちゃくちゃ良かったわけで…


ぅわー!!あたしは何てことをっ!!


改めて考えると、顏がすごく熱くなった。



キョウスケっ!!ごめんっ!!!!