。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。






「リコちゃん、大好きだ!



俺と付き合ってください」




先輩はビールと煙草を手摺の上に置いて、バっと両手を差し出し腰を折る。


へ!?


びっくりし過ぎていて、あたしはひたすら先輩の指先らへんに視線をゆらゆらと漂わせた。


「……やっぱダメ……?無理もないよなー……あんなデキる男で、男の俺から見てもかっこいい響輔さんの後だと…」


先輩はちょっと悲しそうに笑い


「ごめん……今のは聞かなかったことに…」とふいと顔を逸らそうとして、その目尻に小さな水滴がくっついてた。


「先輩……」


「ごめっ……目に砂が…」と先輩はくぐもった声で言ったけど、


「先輩…」


「かっこわりー」先輩は目元を乱暴に拭い


あたしはそんな先輩の手を取って、


「あたし…!まだ何も言ってませんけど」


勢い込むと


「―――…え?」先輩が顏を戻した。


あたしは一生懸命先輩の両手を握った。


「こ…こちらこそっ!こんなあたしで良ければ…」


大切な言葉は震えていて、みっともないけど裏返っちゃった。


「え!マジで!?」


先輩がびっくりしたように目を開いて


「はい!あ、あたし先輩が卵焼き好きって知ってて、昨日頑張って練習して…でも今日やってみたら全然上手くできなくて…ホントはyouが手伝ってくれて……


料理、今まで全然できなかったし、こんな女としてはダメダメなあたしだけど、


でも、先輩の好物これからたくさん練習します!」


一気にまくしたてると


「うっそ……ヤバい……」先輩はくしゃりと前髪を掻き揚げ


「それ……すっげぇ嬉しい……何か俺…泣きそう…」と先輩は今にも泣きだしそうな…それでいて本当に嬉しそうな複雑な笑顔を浮かべていて


「もう泣いてます」あたしがちょっと笑って


先輩の手を強く握ると、先輩の顔が近づいてきた。