そんなワケでドタバタしながら何とか料理が出来上がったのは、それから二時間近くも経っていた。


「ごめん!お待たせ~!」とあたしがリビングでくつろぎ中だった戒と千里、それからキモ金髪を呼び寄せると


「おー!うまっそう!!」と戒は涎を垂らしそうな勢いで目をキラキラ。


「あ、卵焼き!」とキモ金髪が指さした卵焼きはリコとイチの合作だったが


「ほら、言いなさいよ。あなたが一人で作ったって。その方が彼が喜ぶんじゃない?」とイチがリコの背をちょっと押す。


「あ、あたしが……」とリコが恥ずかしそうに言い


「マジで!?」とキモ金髪は嬉しそう。


「こ、今度は一人で出来るように頑張るね!」とリコが小声でこそっと言ってきて「おうよ」とあたしも笑った。


てか、イチ……ホントに結構いいヒト??ちょっと高飛車な口の利き方だけど。


「一ノ瀬くん、エビフライ~、youさんと朔羅が手伝ってくれたの」とエリナは相変わらず千里に気を遣ってるのか、にこにこエビフライを指さし


「あ、ありがと…」と千里がちょっと顏を赤くして顔を逸らす。


最初はどうなるかと思ったが、これから飯食うって言う場だからか、何となく和んでいる。


グラスに飲み物を注いでいるときだった。


『ただいま入った速報です。数時間前、中東刑務所から服役中だった受刑者が三人脱走した模様です。近くに潜伏している可能性もあるため、警視庁は脱走犯の捕獲、そして付近の住民に注意を促しています…』


と、点けっぱなしになっていたテレビからニュースキャスターの声が聞こえてきて


「えー!中東刑務所ってこの近くじゃん!」とリコが言い

「ちょっと怖いね」とエリナも目をパチパチ。



「「でも朔羅が居るから安心だね~」」



リコとエリナが二人揃ってあたしを見てきて


「てか、何で俺じゃないんだよ!」と戒は目を吊り上げる。


「え~だって朔羅の方が強そうじゃない?」とリコがニヤリと笑って



「確かに姐さんは強い…」
「朔羅は強い…」



とキモ金髪と千里の声も重なり……


おい!!ここに白虎のエースが二人も揃ってるのに何であたし!!


「響輔はあたしのこと守ってくれるのよね?」とイチがすでに座って居たキョウスケを覗きこみ


「気がむいたら」とキョウスケは冷たい。


「何ですって!」


イチが目を吊り上げ、近くにあった布巾のさきっちょを口で引っ張りながら「キー!」と声を挙げる。


何か……色々イメージが崩れてくるな、このひと…