キョウスケは10月のパーティーまでスネークが直接的に手を出さない、と言ったけれど
でも、今までだって散々狙われてきた。
スネークの目的が、ただ単にあたしたちの破滅を願っている、だけじゃなかったら?
慌てて戒に再度電話をするも、またも留守電いっちゃったし。
「そ、そーやさ!あたし変な医者に会ったんだよね」キョウスケのTシャツの袖をぎゅっと握ると
「変な医者?ドクター鴇田のことですか?」とキョウスケが聞いてきて
ま、まぁ?あいつも充分変だけどな…
って、ちがーーーーう!!
「関西弁喋ってた変な兄ちゃんだよ!すっげぇイケメンで!」と手振り身振りで説明すると
「ああ」とキョウスケはどこか納得したように頷き
「俺たちの仲間ですよ。大丈夫、危険な人じゃないんで」と無表情にキョウスケは語る。
「ホントかよ!あたしゃあいつに血だって抜かれたんだぜ!」と勢い込むと
「ああ、彼のあれは趣味みたいなもので」とキョウスケは慣れているのだろう、『今更』な感じで軽く言ったが…
趣味!?人の血を抜くことが!
はっ!あいつは吸血鬼ドラキュラの一族か!それか生まれ変わりかっ!
と一人妄想が暴走。
けれど今はあの変な医者のことはどーだっていい。後でいくらでも戒を問い詰めりゃ何とかなるだろ。
その戒が行方をくらましてる、って言うのが気になるんだよ!
急に不安になって、思わずキョウスケのTシャツの袖を握った手に力を込めると
ことの重大さが分かってきたのかキョウスケも視線を険しくさせ、
「ちょっとこっちへ」
と言い、あたしをキョウスケの部屋まで連れて行った。



