すでにリビングで一杯はじめてる戒とキモ金髪。いつもならこっちを手伝ってくれるであろう千里はエリナのマドンナビームで近づけないみたいだし、男陣はあてにならないと思っていたが…
「良かった、キョウスケ。芋の皮むいて」とあたしはジャガイモの入った籠とボウルを手渡した。
キョウスケは大人しくそれらを持ってカウンターを挟んだ向こう側のダイニングテーブルでジャガイモの皮をピーラーで剥き始める。
「お醤油とって」とすぐ隣でイチが言ってきて
「あ、はい」と慌てて醤油のボトルを手渡し
「なんか、そうやって見ると(美人)姉妹って感じだね」
「ホントだ~、顏の系統とか何げに似てるしね~」
リコとエリナが楽しそうに指摘してきて
「は!?」
と目を剥いていると
カラ………ン
イチが持っていた軽量スプーンと、キョウスケが持っていたピーラーが渇いた音を立てて同時に手元から落ちた。
二人とも目を開いてあたしを注目していて
「り、リコ!エリナも!変なこと言うからキョウスケと…イチ……さんが困ってるじゃねぇか」
と慌てて言うと
「えーだって何となく似てるし」とリコが口を尖らせる。
「大体あたしがこんなきれいな女優さんと似てるワケねぇだろ」
イチだってきっとこんなガサツで口も悪けりゃ態度もでかい女を妹だと思われて心外な筈。
と思ったが、イチとキョウスケはあたしの意見に何も返すことなく、最初から何も聞いていなかったように
「響輔、砂糖とって」とイチが言い
「ん」とキョウスケが席を立ち上がり、言われた通り砂糖のボトルをイチに手渡している。
な、何だぁ??



