「ねぇ…you…聞いて…」


マネージャーの弱々しい言葉に苛立ちを覚えた。


こんな言い訳みたいなこと聞きたくなかった。いっそハッキリと売れる為には何でもやる、と言い切ってくれた方が気持ちがいい。


あたしは事務所の“商品”なのだから―――


「バレないと思った?隠せるわけないじゃない」と口の端を曲げて笑うと


「隠すつもりもないし……バレても構わないと思ったわ」とマネージャーが続ける。


「じゃぁ下手な言い訳しないで、ハッキリ言えばいいじゃない」


「…言い訳なんかじゃない」マネージャーが俯く。


いつもガミガミと小煩い、でもあたしが窮地に立たされた時も守ってくれた、母親でもなく姉でもなく、どんな関係に置き換えたって一言では言い表せない存在だと思ってた。


いつも自信があって、仕事は厳しいけど、あたしのこと―――


信頼してくれてた。


ああ、そっか……


あたし、悲しかったんだ、きっと。


裏切られた―――と思ったんだ。


バカみたい。


そもそも信頼関係があるって思ってたのはあたしだけで、マネージャーはそんなの無くて。


この雑誌がどう影響するのか分からなかったけれど、“どっち”に転んでも、あたしの代わりは幾らでも居るってことね。


「もう今日は帰って」


あたしが冷たく言うと、マネージャーは悲しそうに眉を寄せ





「帰って!」






あたしはそう叫ぶと、マネージャーは項垂れながら、やがて部屋を出ていった。


広い部屋に残されたあたし。


前はこの広さを何とも思わなかったけれど、今は独りで居るのが―――寂しい。


あたしはスマホをきゅっと握った。反対の手で響輔がくれたテディを持って。


響輔に電話したら―――あたし、きっと泣く。


そうしたら、響輔だって困るだろうし




玄蛇がどう出るか分からない。



ねぇ、玄蛇……



あたし、悲しいよ。泣きたいよ。


でも、どうすればいいのか分かんない。


あんたなら―――どうすべきか分かる?



教えてよ。




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