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.。*†*。. 一結Side .。*†*。.



響輔から二泊三日の別荘旅行のお誘いを受けたのはつい二時間程前。


嬉し過ぎて踊り出したい気分!


「you、いくらプライベートな旅行だからって羽目を外しちゃだめよ。いつ週刊誌に載るか分からないし、こないだだってほら……倉庫の火事の件で刑事さんがあんたを訪ねてきたでしょう?


あんまり目立たないようにね」


と、目の前で衣服を整理している(鬼)マネージャーが目を吊り上げてる。


二日前、あたしは薬を飲んで自殺を試みた。結局死にきれず、二日程の入院でいつも通り元気に戻ったわけだけど、一週間のお休みを貰っても最初は鴇田のマンションに連れていかれそうになったのを猛反対した。


と言うわけで妥協案として受け入れられたのがマネージャーとこのホテルに居ること、だった。まぁ体の良い見張り役ね。一週間もこの鬼マネージャーがくっついているって知って気が滅入ってたところだ。


その鬼マネージャーも『たまには息抜きも必要ね。またあんな騒ぎになったら大変』とこぼしていた。“あんな騒ぎ”と言うのは、言うまでもなくあたしが自殺未遂するってこと。


マネージャーは何を勘違いしたのか、あたしが響輔と付き合えないことを人生の終わりだと思っての行動だと思ったみたい。まぁ半分は当たってるけど、その半分でさえマネージャーが考える程簡単なものじゃない。


複雑―――なのだ。


その“複雑”な部分を分かってもらうつもりはないし、分かって欲しいとも思わない。


「分かってるわよ、大人しくしてればいいんでしょ」とそっけなく言って、つんと顔を逸らす。


週刊誌には……そりゃ気を付けるべきだと思うけど、あたしはまだハッキリとメディアに顔出ししてないし、あまり騒ぎにならなさそうだけど……


『刑事』と聞いて、ドキリと胸が鳴った。


忘れかけていたざわつきが胸の奥でざらつく。


あの芳しい香りが今も尚、鼻孔をくすぐっている気がする。


せっかく楽しい旅行前だってのに、嫌なこと思い出しちゃったじゃない。