その前に片付けないといけない問題があるが。


「約束の一週間後、スネークは…いえ、タイガさんはどう仕掛けてくるつもりなんでしょうね」


ビールを飲みながら遠くの方を見て響輔がぽつりと呟いた。白い横顔の切れ長の目にちょっと掛かった前髪でその表情が良く読めなかった。


「……響ちゃん」


そっと響輔の前髪に手を伸ばすと、突如


パシッ!


と腕を掴まれた。


「何しはるんですか、きしょいねん」と響輔は真正面から俺をギロリと睨んできた。


「AHAHA~!」俺はバカっぽく笑ってやった。響輔のグラスの中に再びビールを入れると


「キーはイチや。あの女狐の行動で左右してくる」


「俺にそれまで繋ぎ止めておけ、と?」響輔が目を細め冷めた声で聞いてきた。


「ちゃう。繋ぎ止める止めんとかそうゆう問題やなくて。つまり、お前らはお前らの好きにしたら?って。


好きで一緒におるんのもええし、嫌いで別れるんでもええし」


俺の言葉に響輔は徐々に目を開いていった。


「……それですよ」


突如響輔に眉間に指を突きたてられ、俺は寄り目。


「何?」


「タイガさんは…いいえ、スネークはイチが女優で成功することを願っていました」


「は?何で知ってんねん、そんなこと」


「ちょっと前に騒ぎがあったんですよ。と言ってもまだメディアには出ていませんが。


一結を一方的に嫌っていたアイドルのスキャンダルをフォーカスしたのは、間違いなくスネークの仕業です」


「なる程、それでイチの気を引こうと?だったらバカな男だな、あのプライドの高いイチがそんなことされて喜ぶタチか?」


俺は顎を引いて腕を組んだ。


「分かりません、ただタイガさんは非常に合理的主義だと言うことです。そのフォーカスは一結の気を引きたかった、と別のところにあるんじゃないでしょうか」


別の所?


「試写会ですよ。


彼はもしかして愛以外の何かで“試写会”の舞台に立つ“女優のyou”が必要だったら?


文字通り、鍵は一結が握っている」


俺が顔を上げると真剣な目をした響輔の視線とまともにぶつかった、そして二人してニヤリと笑った。


「だな、この一週間でカタが着かなかった場合、けれど二回目の決戦は試写会んときや。


あいつは、間違いなくそこで何か仕掛けてくるつもりだ」


俺は響輔と拳を合わせ


「ガキやと思って舐め腐った態度とりやがって」俺が言い


「白虎の底力みせたるわ」響輔が口元を不敵に吊り上げる。



「「覚悟しいや」」



スネーク、お前を必ず闇に葬ってやる。





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