。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。




それからもそもそと食事を再開させたが


「「………」」


ち、沈黙が重い!


龍崎家では何かと騒がしいから、あたしが喋らなくても、みんな好き勝手やってるし、口喧嘩の仲裁もしょっちゅうだ。


戒と二人でデートのときもあいつは良く喋ったし、千里と沈黙になっても、もう慣れっこだからそれほど苦じゃなかったのに。


考えたらあんまキョウスケと二人きりで食事、とかなかったな。


と、ぼんやり考えてると


「俺、女の子をフったのは初めてで。


しかも二回も同じひと」


とキョウスケがぎこちなく切り出して、それがこいつの気遣いだとすぐに分かった。


「そうなの?お前、モテそうなのにな~」


と、ワザとチャラけて言った。キョウスケの気遣いを無駄にしないために。


「いえ、全然。俺、フられてばかりでした」


「そーなの?意外だな、お前をフるって」


「そうですか?大抵フられる理由が『鷹雄くんて何考えてるか分からへんわ』って…それはもうルール本を読んでるような…」


ルール本って…


「あ~何となく分かる」


あたしがちょっと笑い、それはちょっと失礼かと思って慌てて食事を再開させる。


「まぁ?あれだ……、お前の考えてることが分かるって、それだけ親密なことだよな。


や、親密とか変な意味じゃなくて。歴史とか、距離とか―――」


慌てて言うと




「そうかもしれへんですね。


そう意味で一結は、距離が近かった言うことですね」




キョウスケが頬杖をついて、窓の外を眺めている。


その視線に慈愛を感じて、こいつの中で本当にイチの存在が“大切”なひとに変わったことに、再度確信した。